新書大賞を取った橘玲氏の最新新書が発売されました。そのタイトルが「テクノ・リバタリアン」といいます。実は、個人的にリバタリアンという言葉を知る機会がありましたが、日本ではほぼ知られていない思想なのでこんな題名をつけても大丈夫かなと思ったのと、テクノ(テクノロジー)が頭に付いている事の意味も理解できなかったので、どんな本なのかとつい手にとりました。
この本で、橘氏は、イーロン・マスク、ピーター・ティールそして、次世代として、サム・アルトマン、ヴィタリック・ブリテンを主に取り上げて話を進めています。彼らは、高い論理・数学的知能を持ち、テクノロジーの開発者であると同時にリバタリアンである事で、彼らがこれからの世の中をどのように変えるのかを彼らの生い立ちや時代背景を通じて解き明かそうとしていると私には読めました。
本書の流れは、「はじめに」で、取り上げる人の特性を述べています。そして、本題に入る前に、日本人には馴染みのないリバタリアンの説明がはいります。この後は、4人を中心に話が進みます。テクノロジーにより世の中が、どのように変化していくかを文献や科学知識を駆使して書かれています。読んでいると近未来小説のようでドキドキしました。
テクノロジーや科学(社会科学も含む)が、話の中で出てきていてので、SFのように読めたのだと思います。
しかし、常に彼らの思想についての説明が入ることから、彼らの思想に、注目されている事に変わりはしないと感じました。
そして、本書のあとがきには、「リバタリアニズムは(中略)テクノロジーと結びつき、世界を変える唯一の思想テクノリバタリアニズムへと進化している。ところが、日本の偏った言論空間に囚われていると、イーロン・マスク(中略)がリバタリアンである事の意味がわからない。」「私は極端な不均衡を正したいとおもっていた。」「今世界で起きている『とてつもない』変化について読者の理解に資することを願っている」と、本文の冷静な文面とは打って変わって熱い文章が本書を書くきっかけになったのだと思いました。(あきる野とうきゅう店 k・y)
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出版社/メーカー
文藝春秋
ISBN/JAN
9784166614462