私の今村先生の初の読書体験はこの「イクサガミ」でした。一気に三巻目まで読んでしまいました。
作品の時代は、明治時代初期の平和になりつつある明治十一年でありますが、話の始まりは、新聞の記事からはじまりました。「武技に優れたるもの。本年五月五日。午前零時。京都天龍寺境内に参集せよ。金十万円を得る機会を与ふ。」巡査の年棒が四十八円だとすればその価値は何と年俸二千年以上分に当たる。新聞を見て有象無象の人々が集まります。しかし、このお金を手にいれる為には京都から東京まで、必要な木札を集める必要がある。そして、木札は一人に一つ渡される。手にいれる為にはその木札を持っている人を殺して集めていくと言うバトルロワイヤル。
人が死んでいくシーンはやはり読んでいて想像すると本から目を背けてしまう所もありました。ただ主人公が大金を手に入れても妻に顔向できないようなことはしたく無いと言う矜持から、この戦いに参加した少女を助けて旅をします。主人公達のこうした心持ちが殺伐としかねない殺し合いや理不尽さを超えて行こうとする力を感じました。
そして、人々の個性やなぜこのバトルロイヤルに参加したのかという各々の事情が物語を進むにつれて詳らかになり心を動かされてしまう箇所も多かった。多くの運命の糸が絡んで、転がって東京へ。最初に主人公が何故こんな事をするのだろう。どうして、京都から東京へ移動させるのだろう。東京へ入ったらどうなるのだろう。と言う疑問は読者である私にも解けないまま疾走の如く三巻目を読み終わってしまいました。
この作品はまだ終わっておらず四巻目にこの謎が解かれるのを期待と冒険活劇の続きを楽しみに発刊を待ちたいと思います。
Yama・k