校庭に立つ少年少女の像。その指先はなぜか切り落とされていて……。(『未来へ』)
かつて目撃した飛び降り自殺事件で起こった奇怪な出来事は……。(『マリオネット』)
ホラーの大家が手がける百物語。いかにもよくある実話怪談のバリエーションのような話もありますが、とにかく語り口が絶妙すぎてたまりません。掌編だから適当なところでしおりを挟めば良いのに一編読めば次々と読まずにはいられなくなります。
また、 『残穢』と一部の話がリンクしているのは知られていますが、他にも著者のあの作品で登場したあのエピソードの元ネタはこれかな?という話がちょくちょくあるので、ご存じの方は『ゴーストハント』シリーズなども併せて読み返してみるという別の楽しみ方もできるかも。
個人的に一番ぞくっとしたのは、『お馴染み』。バスの車窓から見かける奇妙な人物の話です。
それ自体はいくらでも合理的解釈が可能で、何も異常なことではないようにも思えるのですが、最後の一行で一気に足元が揺らぎます。(河内長野店 樽野)
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出版社/メーカー
KADOKAWA
ISBN/JAN
9784041033753