「合法復讐屋」を名乗り、法の網の目をくぐって依頼人の復讐を代行するエリス。恋人に裏切られた女性、息子の起こした過失致死事件を陰謀と主張する父親……「法律の範囲内だけど、道徳の範囲外」なサービスによって、真っ当な手段では救われない、綺麗事では否定しきれないものを晴らすために。連作リーガルミステリ。
「合法的、且つ最大限に、相手にダメージを与える方法を考える」という復讐屋のサービスがまず魅力的です。
そして、あえてそんなグレーゾーンの仕事をしているエリスが、色んな意味で実に良いキャラクターで、大変好みです。「色んな意味」の内容はお読みいただければ分かりますので、是非どうぞ。
主人公は自分のしていることが「正義」ではないと強く自覚しています。「エリス」というのはギリシア神話に登場する不和と争いの女神ですが、同じギリシア神話の復讐の女神、殺人者を罰する「ネメシス」ではなくそんな嫌われ役寄りの名を名乗るのは、そのためです。
その覚悟が最高に格好良いと同時に、やることは実際相当悪辣かつ手が込んでいて、たとえ合法でも良い子は絶対に真似してはいけない類なのもまた魅力的。ちなみに合法とは、この場合「バレても言い逃れが可能」という意味です。
仲間外れにされた腹いせに神々の宴席に黄金の林檎を投げ込んだら結果的にトロイア戦争が勃発することになった本家エリスよりも、明確な目的と悪意がある分上手かもしれません。敵に回したくないですね。
「復讐」は確かにスカッとするけれど、それを正しいことと思ってはいけない。でも、意義があると思うから、やる。そんな、正義でも悪でもない潔さ、格好良さを味わってください。(河内長野店 樽野)
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出版社/メーカー
宝島社
ISBN/JAN
9784299044815