本作の主人公は坂入十蔵と言う。6年前に日本橋に講堂を買い求めて寺子屋の師匠をしている。寺子屋は個人の習熟度、家業、性別などを考慮して師が教本を選び筆子(生徒)が自前で購入して学ぶ、さしずめ今なら私塾かフリースクールといった所だろうか。彼の寺子屋は四民も男女も隔てなく、そして、どんな子供でも受け入れた為に厄介な子供もいた。十蔵に悪戯を挑む鉄之助、吉太郎、源也の三人と千織がそうである。そんな、四人が各々起こした問題や巻き込まれた事件に師匠として相対し、十蔵の師としての振る舞いや考えを通して、子供達との信頼が結ばれる中、家業を捨てたはずの十蔵が事件に巻き込まれていく。
十蔵の実家は、伊賀組与力二十騎のうち一家であり、公儀隠密としても活動していた。十蔵は次男として忍びをして活動していた過去がある。
事件に巻き込まれた十蔵の危機を寺子屋問題児四人組が師匠を助ける為に動きはじめる。
子供達が各々の特性を理解して、お互いを信じて十蔵を助ける為に活躍する姿は、宛ら冒険活劇の様相でページを捲る手が止まらない状況。そして、今村マジックではないですが、ここに至るまでの青春小説として読んでいた私は、何も不思議に思わないように冒険活劇へと幕がかわり、支離滅裂にはならないように紡がれた話と登場人物達の心情と会話に引き込まれて最後までその題名のままに読者の私も並走して走り切ってしまいました。
そんな、「てらこや青義堂 師匠、走る」青春、冒険、人情、と、てんこ盛りの舞台と気持ちを味わいたい方へ向けて今日も師匠は走っています。(河辺店 yamaoka)
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小学館
ISBN/JAN
9784094071825