北欧、森と湖の国、フィンランド。かの国に魅せられ十年以上毎年通い続ける著者が、愛してやまないフィンランドを詰め込んだコミックエッセイ。
とにかく全てのページから押し寄せて来るフィンランド愛がとても温かくて、読んでいるだけで幸せな気持ちのお裾分けをもらえる気分になる本です。これだけ惚れ込める場所がこの世にあるというのが羨ましい限りです。
ただし、著者はいつかフィンランドに移住するために手に職つけようと寿司職人の修行をしているという本気の方なので、その「旅の楽しみ方」は観光というより「もうひとつの自宅にのんびりしに行く」といった風情です。
木彫りナイフを衝動買いして白樺のスプーンを作ったり、湖畔でブルーベリーをつまみにビールを飲んだり、地元の人々と一緒にサウナで蒸された後湖に飛び込んだり(註:外気温マイナス20度)、毎年買うせいで家にムーミンのマグカップが20個以上あったり、コテージに数日引きこもってのんびりしたりと、少々上級者過ぎて一般旅行者の参考にはあまりならない気がしなくはない(書き忘れていましたが、この本にガイドブックの出番は1ページたりともありません)のですが、心の底から楽しそうであることは間違いありません。
ちなみに著者は近著『北欧こじらせ日記 移住決定編』(世界文化社)にてついに本当にフィンランドで寿司職人として働き始められたとのこと、本気で尊敬します。行く手に幸多かれと祈らずにはいられません。
読めばきっと、フィンランドの湖畔でのんびり物思いにふけりながらブルーベリーを食べたくなりますよ。(河内長野店 樽野)
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出版社/メーカー
ワニブックス
ISBN/JAN
9784847070990