自宅で過ごす時間が増えたことにより、世代によってさまざまな時間の使い方をしているこのご時世、その世代でも共通するのは、この自宅での先行きの見えない時間の使い方なのではないだろうか。
本書は「余暇」の過ごし方ではなく、これからの自分自身のための「学ぶ」ということについて書かれている作品だ。
著者の池上彰は、「勉強はたいていつまらないもの」と語る反面、「学んで損をすることは一つもない」と本書で記している。それでは、「勉強」と「学び」はどう違うのだろうか。
「勉強も学びも意味は同じです。どちらにせよ、やはり上から押しつけられてやらせるのはよくないやり方です。子どもは何か一つ、「あっ、これはおもしろいな」と思えるものをうまく見つけることができたなら、放っておいても自発的に勉強を始めます。この点は大学生も社会人も同じです。」
著者は記者、アナウンサー時代を経て、「週刊こどもニュース」で小学生にも分かりやすいニュースの伝え方を、番組を作りながら学んできた。それは結果として、著者が分かりやすく伝えるために、様々な分野を学び、そして積み重ねてきた知識や経験が現在のTVや新聞、書籍での活躍に活きているのは言うまでもない。
本書の冒頭で「セレンディピティ=思わぬ発展につながる偶然」についての大切さについて著者が記しているが、これもまたセレンディピティがもたらしてくれた最高の結果の一つだ。
物やお金に換えることのできない、かけがえのない私達の学びの財産を増やしていくためにも、自宅で過ごす時間を未来の自分への投資にできるように、本書で「なんのために学ぶのか」を学んでもらえたら嬉しい。(文教堂 青柳)
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SBクリエイティブ
ISBN/JAN
9784815604394