ごく一般的な工科大学である成南電気工科大学のサークルのひとつ、「機械制御研究部」、略して「機研」。それは工学系の大学にはありふれた部に思えるが、様々な意味で大学中から畏怖される集団であった。
部長「成南のユナ・ボマー上野直也」と副部長「名字を一文字隠した大神宏明」という物騒な渾名持ちのふたりに率いられたその輝かしき黄金時代、彼らはあらゆる活動を常に全力で駆け抜ける。青春は(物理的に)爆発だ!
理系男子たちの熱い(場合によっては物理的に)青春……とまとめると何だかすごく知的かつ情熱あふれる学園ドラマのように思われそうで、いやそう表現しても決して間違いではないはずなのですが、でもやっぱりそれでは誤解を招きそうな……えー、とりあえず、私は一冊まるごと呼吸困難になりそうなほど笑い通して読みました。そういう話だとお思いください。
部長と副部長のアグレッシブな渾名の時点でとんでもない部であることが明白な機研ですが、朱に交わって赤くなったのか、元からかなり赤かったのか(多分後者)、他の部員も十分に「キケン」な素養の持ち主であるため、その熱く激しい(場合によっては物理的に)活動は常に予想を超える展開を見せてくれます。
学祭の模擬店のために本気でレシピ開発の研究をしたり、他のサークルや教授と争ったり(物理)、ノリと勢いでちょっとここでは書けない道にうっかり足を踏み入れかけたり、工学系の大学生活とはここまで油断ならないものなのでしょうか。て言うか、ユナ・ボマー上野君は本当にまだ犯罪者にならずに済んでいるのでしょうか……?
とにかく笑ってスッキリしたいときに、強くお勧めいたします。
(河内長野店 樽野)
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KADOKAWA
ISBN/JAN
9784041039014