「人々を笑わせ、考えさせた研究」に対して贈られる,「イグノーベル賞」。
「ガスマスクになるブラジャー」「ヤギになるためのスーツ」「ゆで卵をちょっとだけ生に戻す方法」などなど、凡人にはちょっと思いつかない個性豊かな研究が目白押しの受賞者達は、人類の知的好奇心の果てしなさを知らしめてくれるはず。
ノーベル賞のパロディとして創設され、ある意味本家よりも人気のあるイグノーベル賞の受賞例を紹介する本です。
「研究を馬鹿にしている」などと思われることもあるそうですが、これはむしろとても純粋かつ真摯に学問というものを見つめる試みではないでしょうか。
受賞例は「ネコは液体であるか否かを物理学的に考察した論文」などの「分かってやっている」もの、この本では取り上げられていませんがホンモノのいわゆるトンデモさんもありますが、実のところ「真っ当な学術的興味や社会的ニーズに応えてあくまでも真面目に研究・開発に勤しんだ結果、なんだか愉快なことになった」パターンが一番多い模様。そしてそれが一番面白いのではないでしょうか。「ネコは液体か」の論文も、テーマこそふざけているように思えますが、ちゃんと筋の通った物理学の論文なのです。ちなみに結論は「液体であるとも言える」だそうです。正直騙されている気がします。でも物理学的には正しいはず…。
読んで笑って、考えて、そして人間という生き物の奥深さに思いを馳せてください。
ただし、真似はしない方が良さそうな研究も少なからずあるので、ご注意を。そこもまた奥深さかもしれませんが、最悪命にかかわるようなことをやっている例もあるから恐ろしいです。学問に命を捧げる(文字通り)、研究者としては本望なのでしょうか。具体例はぜひ本書をお読みになってご確認の上震え上がってください。
蛇足ながら、日本人は受賞の常連だとか。誇って良いことだと思います。
(河内長野店 樽野)
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出版社/メーカー
総合法令出版
ISBN/JAN
9784862807793