「一度でいいからロンドンに行ってみたい、お姫様のような旅がしたい」
祖母のその言葉から始まった、5泊7日の豪華旅行。若き日の著者は通訳兼世話係として同行することに。美しいものが大好きで頑固な祖母に振り回されながら、孫娘は様々なことを学んでいく。
自己肯定感激高、メンタル最強な祖母姫様の魅力に、ひれ伏したくなること間違いなし!
とりあえず言わせていただきたい、姫様、素敵すぎる!
天下の大英博物館を「干物や石ばっかり見せられてもね……」という歴史好き卒倒ものの一言で一蹴したかと思えば、ロンドン塔のクラウン・ジュエルズに大喜びするなど、わがままなのではなく自分の美意識というものがしっかりあってこその頑固さだと思うと尊敬できますし。
何より、飛行機はファーストクラス、宿泊先は五つ星ホテルという大名旅行なので、受けるサービスもことごとく超一流なのですが、それに対する姫様の対応が素晴らしいのです。例えば、ホテルのバトラー(部屋のサービス担当者)が日本人だからと煎茶を提供してくれたときのエピソード。具体的なことはお読みいただくとしまして、私は彼女の「もてなされる側」としての意識の高さに感服しました。姫だ、この人は真に誇り高く高貴な心を持つ本物の姫君だ。
そして、しばしば繰り出される孫のみならず読者の心をも撃ち抜く言葉の数々。自信とは何か、美しいとはどういうことか、真理を見事にえぐってくださる、人生の範としたい名言が目白押しです。ぜひ唸ってください。こんなことをさらりと言える歳のとり方をしたいものです。
そんな祖母姫様に心酔するだけでなく、飛行機のCAさんやホテルのスタッフのホスピタリティに触れて成長していく孫娘の姿にも感動できます。自分の人生でも、こんなふうに生涯心の中で輝き続ける思い出を作れるように生きていきたいと、読み終えてしみじみと思います。
(河内長野店 樽野)
フェア/カテゴリ
書店員おすすめ
出版社/メーカー
小学館
ISBN/JAN
9784093891134