行動心理学の知識と鋭い観察眼で話す相手の嘘を見破り、「エンマ様」と恐れられる刑事・楯岡絵麻。
被疑者のかすかな表情や仕草からその内心の動きを見抜いてしまう彼女は、取り調べでその能力を駆使し、隠された真実を暴き出す。
ドラマ化もされた人気ミステリシリーズです。
名探偵役である主人公は対面する相手が嘘を吐いていることが分かりますが、それだけではありません。相手とのやり取りの中で「どう嘘を吐いているのか」「なぜ嘘を吐いているのか」を暴いていく過程にぐいぐい引き込まれて、ページをめくる手が止まらない面白さです。物語の主な舞台は取調室で絵面は似たような感じばかりなのに、毎度様々な謎が出てきてワクワクしながら読めます。
エンマ様はかなり「いい性格」をしていて、犯人と目した相手を徹底的に追い込んでいく様は痛快であると同時に「この人絶対敵に回したくない」と思わされます。
なかなかきついキャラクターなのですが、悪辣な犯罪者を完膚無きまでに叩きのめしてくれるその容赦なさがだんだん癖になります。その背景にはとある事情があって共感できるし、それぞれの事件は重くても読後感は心地よいです。
あと、癖の強い主人公に対する中和剤的な存在である部下の西野君が、とても良い奴です。…あの展開は予想外だったなというファンは多いと思うのですが、今後どうなるのかも楽しみです。
楽しんだ上で心理学の知識も身につきますよ。
(河内長野店 樽野)
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出版社/メーカー
宝島社
ISBN/JAN
9784800203281