神楽坂は趣のある素敵な街。ここに「つきみ茶屋」という割烹があるのをご存知だろうか。
切り盛りするのは刃物恐怖症の剣士。彼の幼馴染で元抱かれたいバーテンダーNo.1の翔太。
そして江戸の料理人、玄の二人。
え?三人だろ?そうお思いになるだろう。
でも、合ってるんです。
なぜなら、玄は翔太に憑依した「魂」だから。「人に取りつくなんて初めてだからよ。どうにも勝手がわからねえ」と、うそぶく調子っぱずれな
迷キャラだ。そんな「三人?」が繰り広げる五感をくすぐる人情譚。
物語には身近な食材を余すことなく旨そうに演出していた、数々の江戸料理が登場する。
ちょっと拵えてみたくなる。
例えば「結び豆腐」。当時の料理本「豆腐百珍」に載っている逸品だ。
豆腐を結ぶんですよ!
さすがに難しい。私の成功率は恥ずかしながらの2割弱。それでも二百年近い時を超えて
味わった。
読んで楽しく、作って美味しい本作は四巻まで発売中。まずは一巻をご賞味あれ。
(溝ノ口本店 太田)
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出版社/メーカー
講談社
ISBN/JAN
9784065222355