もしもお客に、目を爛々と光らせて長い舌を垂らして迫るスタッフがいたら。
そんな宿は「ダメだこりゃ」である。
普通は。
福島県、猫魔ヶ岳山麓のどこかに「山亭ミアキス」は、ある。
オーナーは眉目秀麗。特にその瞳は黒曜石のように妖しい。
次々ににたどり着く客は、
妊娠した彼女から出奔した男、
鈍臭いと罵られてきた女、
部活をばっくれた高校生ら、
日常から逃げ出したい5人だ。
いつかのご自分が重なって見え隠れするかもしれない。
針葉樹の森。荘園領主の古い邸宅風の建物。瀟洒な内装。
野趣に富んだ美味しいごはんと、不思議なスタッフからの、時に馴れ馴れしくもあるもてなし。
そして、青く輝く美しい湖で出会う哀しげな幼女との交流を経て、彼らに去来するものは・・・。
優秀な「番犬」にも、有用な「家畜」にもならなかった猫がなぜ長い時を人と過ごすようになったのか?
その秘密も明かされる。
「猫派」の貴方は猫との交わりについて大きく首肯し、魂を揺さぶられるだろう。
猫にまつわる神話の数々に出会えるのも嬉しい。
(溝ノ口本店 太田)
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KADOKAWA
ISBN/JAN
9784041135594