僕たちは、宇宙のことぜんぜんわからない
ジョージ・チャム 著 / ダニエル・ホワイトソン 著 / 水谷淳 訳
「時間って何?」「何故宇宙は反物質ではなく物質でできているの?」「何故重力は引力しかないの?」「何故光速は秒速3億メートルなの?」それらの素朴な疑問に対し、物理学者は明確に答える───ぜんぜんわからない。
それは何てわくわくすることなんだろう!
原題は"We Have NO Idea"。実に身も蓋もない、いや失礼、潔いタイトルに惹かれました。
この宇宙を構成する全てのうち、我々地球人類が知っている事象、ありとあらゆる物質や素粒子や力やエネルギーは、全てひっくるめてもわずか5パーセントを占めるに過ぎない。のっけから突きつけられる事実に張り倒されたような気分になります。同時に、ものすごく心が浮き立ちます。それはつまり、これからも驚くべき新発見がいくらでも待っているということなのです。素晴らしい。
軽妙な文章でわかりやすい比喩やジョークを交えた説明は、理科が苦手な人(私)でも読みやすく楽しめると思います。若い方にもおすすめしたいです。何しろ結論は世界トップクラスの学者先生が「わからない」と清々しく断言してくださっているのですから気が楽です。
「私は海辺できれいな小石や貝殻を見つけて遊んでいる子どものようなものだ。真理の大海は、全てが未発見のまま、目の前に広がっているというのに」という、ニュートンの言葉を思い出しました。子どもの頃に伝記で読んで印象的だったのですが、あれは謙遜ではなく、「もっとすごいものがいっぱいあるんだ、もっともっと知りたい」という意味だったのですね。
ニュートンの時代から三百年、人類はたくさんの美しい貝殻を見つけ出し、広大無辺の大海原の存在も知っています。これからも怯むことなく、挑み続けていくことでしょう。地球人類、頑張っています。
科学の楽しさ、面白さ、そして格好良さを、とてもわかりやすく伝えてくれる本です。(河内長野店 樽野)
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出版社/メーカー
ダイヤモンド社
ISBN/JAN
9784478069547