時は清国が中華民国に変わったその混乱期。一条剛は幼い頃に家族で大陸にある大連に父親の仕事の為に渡った日本人だった。大連に渡った頃に母親が病気で亡くなってしまう。その後は女中に育てられ、今では養母のような存在になっていた。そんな養母の出身地である北京で養母の仕事の手伝いをしつつ、自分は水墨画を描いて生活していた。そんな中突然、剛は紫禁城へ連れて行かれる事となる。彼は、水墨画の先生をする為に連れてこられたのだが、皇帝と側近の翁徳と剛との三人になった時、真の目的が明らかにされる。それは、皇帝の復辟の為の贋作造りだったのである。そんな折、宮中で殺人事件が起きる。剛は皇帝に殺人事件の謎を解くことを強要される。これが連続で起こる事件の始まりになるのであった。剛は事件を解きつつ皇帝の心境を慮るが、時折、皇帝溥儀の気持ちが吐露される所があり、少年皇帝の心境の変化と主人公の思惑とのギャップをより浮き彫りされる。二人の行き違いと思惑の違いが少し悲しい物語を生んでしまう。本書は、歴史小説でありながら、歴史に詳しくない人にも優しく。推理小説なのにトリック一辺倒な事はなく、数々の事件を解いてゆく様の面白さとこの時代の宮中での出来事や時代に翻弄される人達の思いが事件を複雑にしている事の面白さと、宮廷内だけではなく外でも計略の影が見えるところが歴史小説らしさのある作品です。そんな物語風ミステリーへ誘われてみませんか。
(河辺店 yamaoka)
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出版社/メーカー
宝島社
ISBN/JAN
9784299075000