事故死した伯父の遺した無人島にリゾート開発のため訪れたわたしたちは、残された建物の中から大量の爆弾を発見する羽目になった。そして翌朝、参加者のひとりが殺され、生存者たちは犯人から異様な戒律を突きつけられる。
警察に通報してはならない。三日後の夜明けまで、全員この島にいなければならない。
そして、この島にいる間、決して殺人犯を見つけてはならない。
禁を破れば爆弾を起爆させられ、全員が死ぬ。恐るべき三日間が始まる。
舞台は直径三百メートルもない小さな無人島、登場人物はわずか九人、殺人事件が起こって犯人は間違いなくこの中にいるというのに捜査も推理も許されない、異色のクローズド・サークルミステリです。
犯人は爆弾を盾に無実の者たちを脅迫してその行動を制限し、証拠隠滅に協力までさせて巧みに自分の身を守りながら、冷徹に目的を達していきます。ラスト近くにその真の「目的」が何であったかが分かったときの衝撃と戦慄をぜひとも味わっていただきたいです。
島全体を焼き尽くす爆弾という物理的な脅威ももちろんですが、この状況で「犯人を見つけてはならない」というのが心理的にものすごく怖いのですね。嫌でも誰もが考えてしまうのに、それが犯人に気取られれば全員が殺される、でも考えずにはいられない。分かってしまったらどうしたら良い? ……心情を想像するだけで恐ろしいです。
著者の前作『方舟』も、凄まじい極限状況における殺人事件と、人間心理と倫理の壮絶なせめぎ合いを描いています。自分だったらどうするだろうと考え込まされる物語です。
(河内長野店 樽野)
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出版社/メーカー
講談社
ISBN/JAN
9784065404102